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空港とレストランのサービスに見るビジネスモデルと意識の老朽化
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2017年10月20日

地方の空港のレストランでパソコンを取り出し、原稿を書こうとしたところ、パソコンの電池があまり残っていなかった。そこでレストランの電源を借りようとしたのだが、断られてしまった・・・。
 

携帯電話の充電サービスを断る日本の空港とレストラン

かなり前の出来事だ。地方視察の仕事を終え、その地方空港から東京に戻ることになっていた。早く空港に着いたため、この小さな空港のレストランで食事をすることにした。原稿の執筆に追われていたこともあり、パソコンを取り出し、原稿を書こうとした。ただ、パソコンの電池があまり残っていなかったので、レストランの電源を借りようとしたら、断られた。事情を説明して相談しても無理だった。

さらに数年間経つと、新聞に掲載されたとあるニュースに唖然とした思いがした。2人の観光客がその利用している施設(レストランかどうかは覚えていないが)のコンセントに無断でプラグを差し込んで携帯電話を充電したら、電気を盗んだとして通報され、検挙された、というのだ。
私もこのような行為をしたことがあったから、思わずぞっとしてしまった。

さらに時間が経って、しばらく前に地方のとあるレストランに入ったら、そのレストランの電源のところにすべてゴムテープが貼り付けられているのに気付いた。お客さんに利用されないようにコンセントをテープで塞いでしまったのだ。

この光景を見た私は苦笑いした。たとえ、お客さんに充電など利用されても消費された電気代はたかが知れたものだ。むしろ一種のサービスとして大いに提供した方が携帯電話時代のお客さんに喜ばれるのではないかと思った。お客さんを電気の盗人として防備するやり方自体が時代遅れの経営意識だと言いたい。

時代の変化に追い付こうとする回転ずしの店

もちろん、時代とともにサービスを進化させるレストランなどの施設もある。私が住む東京のマンションはショッピングモールとつながっている。その4階にある回転ずしの店(グルメ廻転寿司 まぐろ問屋めぐみ水産 オリナス錦糸町店)に行くと、携帯電話の充電器が数多く用意されている。ある意味では、お客さんに長くお店に留まってもらう作戦と見てもいい。時代の変化に店側が追い付こうとしているという積極的な姿勢を感じた。

この原稿は出張先の上海で書いたものだが、知り合いの経営者と一緒に食事をした上海の家の近くのレストランも同じようなサービスを提供している。ただ、そこのサービスを提供する目的はさらに進化している。

いま、中国のレストランの多くはテーブルに着くと、そのテーブルの一角に張り付いたQRコードをお客さん自分の携帯電話でスキャンすれば、メニューが表示され、食べたいものを注文できる。もちろん、支払も携帯電話にインストールされている支付宝(アリペイ)や微信支付( WeChatペイメント)といった決済サービスAPPを利用して支払う。

もし、その携帯電話の電池が切れてしまったら、料理の注文から支払いまで不自由が生じる。そのような問題をなくすために、店側は自由に使える携帯電話の充電器を多数用意するようにしたのだ。

インバウンド時代を迎えたいまの日本では、空港やレストランは中国人観光客をはじめ外国人観光客がよく利用するところだ。しかし、一部の空港やレストランに見られる携帯電話の充電を拒否する姿勢に、私はビジネスモデルと意識の老朽化を感じた。問題はその本人たちがまだ意識していないということだ。より多くの店や空港に、わが家近くのあの回転ずし屋に学んでもらいたいと思う。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
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