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インバウンド事業を支える技術の革命的進歩
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2017年02月27日

グーグルマップを利用すれば、土地勘のない外国人が自分ひとりで足任せに都内をぶらぶらすることができる時代になっている。さらに技術が進歩し、自動通訳が実現しつつあるという・・・。
 

google地図があればどこへも行ける

10年ほど前のことだ。ビジネスのために東京を訪れた中国の若い企業経営者がいた。私たちはこれまでのように、仕事の合間に都内観光などを案内しようかと思った。しかし、彼から断られた。私たちに余計な負担をかけたくないと言った。

せっかく日本に来て、土地勘のない外国人が自分ひとりで足任せに都内をぶらぶらすることができても、収穫はそれほど期待できなくなる恐れがある。ホスト側としてはやはり心配だ。

私たちが心配しているのを見て、彼はもっている携帯電話を見せてくれた。google地図(2005年サービス開始)を利用して浅草などの人気観光地に無事に行けたよ、と自慢してくれた。自分ひとりで遊びに行くと、スリル満点で、旅の醍醐味を人一倍味わうことができるということを理解している私はそれ以降、中国からの視察団の関係者からこうした要望が出たら、無理に案内しようとはしなくなった。

インバウンド事業は近年、年を追うごとにその人気度が上がってきている。そのなかで、旅行社に頼らずに個人旅行を楽しむ中国人観光客も次第に増えてきている。こうした中国人観光客いや外国人全体に対しても言えることだが、インターネットの普及で、異国の地でもひとりで行動しやすくなっている。google地図はその頂点に立つツールだ。中国の百度地図(Baidu Map)や高徳地図(Autonavi)はその後を追うような存在だ。

言葉の壁を越える文明の利器が誕生直前

google地図のようなツールは個人観光客の目的地に行く案内役の役割を果たし、その移動の問題をかなり解決したと評価していい。しかし、移動や観光にくっついてくるコミュニケーションの問題はまだ解決されていない。

例えば、東京から金沢に行こうとしよう。鉄道で移動するには、在来線と新幹線のどちらを利用すべきか? 駅員と相談しながら決めたいと思う場合は、言葉を介した交流が必要だ。外国語がわからないと、こうした交流は無理だ。ボディーランゲージではやはり限界がある。

2020年の東京五輪を迎えるために、日本は官民を挙げてかなりの予算を注ぎこんでビッグデータを駆使したインターネット上の即時翻訳・通訳ツールを開発している。一方、世界中の民間企業も手をこまねいてはいない。みんな、新しい翻訳ツールの開発に猛烈な勢いで取り組んでいる。

しばらく前に、ある会社が中国でその新製品を披露した。英語を母語にしている女性と中国語を駆使する男性がそれぞれ携帯電話のような小さなデバイスを手にそれぞれの母語で会話してみた。そのデバイスは上手に通訳できた。人々はその正確さに舌を巻いた。なかには、通訳業はこれからなくなるのではといった冗談が出てくるほど、感心している人までいた。

もちろん、そのデバイスが成熟した商品として市場に投入されるまでにはまだ時間がかかるだろう。しかし、この種のデバイスを手に世界中の町を闊歩する外国人観光客の姿がもう目に浮かぶ状態になっている。科学技術の進歩は観光業をより夢のある産業にしている。日本のインバウンド事業もよりバラ色に見えてくるのではないか、と思う。こうしたデバイスを手に、私も世界を飛び回りたい。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
http://www.mo-office.jp/