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春節を迎えた中国の泣き笑いの裏事情
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2017年01月30日

中国、台湾、韓国などでは、旧暦で正月を祝う。今回の春節は、1月28日からだったが……。

都会部で見た泣き笑いの裏事情

春節、つまり旧暦の正月を迎えた中国はいまやその春節ムードに包まれている。社会全体も春節モードに切り替えられたようだ。出稼ぎ労働者が一気に帰省したため、上海、北京などの大都市はがらんとしている。道路は空いていて、車が走りやすくなっている。いつも混雑する地下鉄も信じられないほど空いている。

都市人口が戸籍登録したとおりのものなら、シティライフがどんなに快適なものなのかを否応なしに考えさせられる。こうした状態を嬉しい笑い事情とすれば、次のは困り果てる泣き事情だ。

一方で、街角の軽食店や料理店などは稼ぎ時なのに、働き手がいなくて困っている。宅配業者の多くも春節期間中は配達員の確保ができないから、受付業務をストップしたり、あるいは受付はするが、配達作業は春節後に始まる、と事情を説明して、お客さんに理解してもらう。

子供たちが海外あるいは他の地方にいて、普段の日常生活の面倒はお手伝いさんに見てもらっている「空巣老人」と呼ばれている老人たちとその家族たちはたいへんな状態に追い込まれている。お手伝いさんから賃金アップ作戦を仕掛けられたからだ。

まず、次の春節は出身地に帰らないと宣言していたお手伝いさんが突然、やはり故郷に帰省すると春節の直前に言い出した。春節期間中は故郷に帰らないと約束していたから、老人たちの家族、つまり雇い主側の、春節の休暇を利用して旅行に出るスケジュールがもう決まっている。キャンセルすると、先に支払っていた旅行の代金から払戻手数料を引かれることになる。

困り果てた雇い主は当然、春節期間中、帰省せず残ってもらえないだろうかと、お手伝いさんと相談する。するとお手伝いさんは春節休暇に加えて20%近くの賃金アップを求めてくる。しかも、アップしてくれないと、春節が終わっても戻ってこないことを匂わせる。

依存症になるほどお手伝いさんに慣れ親しんでいる老人たちのことを考えると、いまのお手伝いさんを解雇して新しいお手伝いさんを連れてきても、老人たちがきっと抵抗するだろうと予想できる。やむを得ず、お手伝いさんの春節休暇と賃金アップという要求を呑むことになる。

国境を越えて観た日中のネット泣き笑い事情


今の中国と日本を比べると、差が一番大きいのは、やはりネット事情だと思う。しばらく前、私は西新宿の高層ビル群にある5つ星の京王プラザホテルのWi-Fi事情を批判した。ロビーなどのホテル内では、喫茶店やレストランを利用する顧客でもWi-Fiを利用できない状態になっている。もちろん、これは京王プラザホテルだけの問題ではない。むしろ、日本社会全体にも言えるような現象だ。

しかし、中国のそのネット事情と利用状況を日本のそれと比較すれば、まるで雲泥の差だ。日本の紅白歌合戦に相当する中国の春節晩会はFacebook、日本国内のニコニコ動画、YouTubeなどいろいろなネットを利用してライブ中継放送している。翌日になると、無数のポータルサイトがこの春節晩会の出し物を流している。

確かにFacebook、YouTubeなどは中国国内ではその使用を規制されている。情報の高速道路を中国政府は身勝手な都合で一方通行という理不尽な状態にした。しかし、海外への情報発信においては、これらのネット時代のツールを積極的に活用している。それと比べると、日本側のネット活用意識はあまりにも低すぎる。

それも一種の泣き笑い事情と言えよう。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
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