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日本企業のサービスレベルは急速に低下している
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2017年01月06日

以前から日本企業のサービスレベルの低下現象に警鐘を鳴らしている筆者。つい最近もある企業のあきれるような対応に遭遇したという……。

「誠意は何の役に立てるのか」と公言する日本人社員

近年、私は何度も日本企業のサービスレベルの低下現象に警鐘を鳴らしている。その現状を心配する発言も繰り返している。

それはインバウンド関連の問題だと早合点する読者がいらっしゃるかもしれないが、決してインバウンド分野に限った問題ではないことを言いたい。最近、発生したある事例を見れば、一目瞭然だ。

16年11月上旬、東京都内のとある会社(以下はE社としよう)が「引越のP」という愛称で営業している引っ越しの大手P社に引っ越しの見積もりを依頼した。そして同月中旬に正式な依頼もした。約束では、作業員4人を派遣することになっていたが、引っ越し当日には、実際、身なりからも専門業者の作業員とはイメージが大きく離れてしまう3人しか来なかった。

ところで、引っ越し作業終了後、E社の社員は新移転先で開梱作業中に、レノボのデスクトップ型パソコンのカバーとディスク取り出し口が破損しているのを発見した。そこでクレームを出したら、修理すると約束したまではいいが、結局、約1カ月経っても、まったく問題が解消されていない。「事情説明にも来ないし、こちらから電話で確認していても、埒の明かない回答ばかりだった」とE社の担当者が頭を抱え込んだ。

「問題の解決に誠意を見せていないじゃないか」とE社の担当者は文句を言ったら、「誠意は何の役に立てるのか」と逆に言われて、あきれてしまったほどだった。

P社の対応は確かにサービスレベルが低下している典型例と批判してもいいが、問題はより複雑だ。

迅速な対応が売り物だったレノボ社の悲しい変貌

しかし、この問題が発生して1週間経ってから、P社がようやく行動を起こした。パソコンは製造メーカーのレノボ側に送られ、修理が完了するまで2週間くらいかかると返事をもらった。

ところがそこでまた信じられないことが起きた。2週間が経った12月15日に、メーカーに状況確認をしたところ、現在見積もりが終わりこれからP社に請求し、入金確認後メーカーは作業に取りかかる。部品があれば3、4日で直るという返事が戻ってきた。

しかし、12月末になってもパソコンはまだ戻っていない。P社からも問題解決のための措置とか進捗具合のことについての連絡が来ていない、とE社の担当者の不満が爆発寸前だ。

レノボは中国系のパソコンの大手企業だ。私が長年、観測し、報道している企業でもある。以前、迅速な対応を売り物とするレノボは修理の見積書を出すために、約2週間もかかるとは本当に信じられないほどだった。

だから、日本で現れているこのサービスレベルの低下問題は日本企業に限ったものではなく、日本に進出した外資系、中国系の企業にも同じく起きている。

働き手が不足している問題は日本のサービス現場にいろいろな影を落としている、と私はこの一連の問題を見ている。確かに社員教育をきちんとやれば問題をある程度解決できるかもしれない。しかし、それ以前に、従業員の素質の確保問題が浮上してくる。働き手を少しでも確保するために、昔なら採用しない人間まで社員にしている苦しい事情が日本のビジネス現場にある。サービスの良さは日本の伝家の宝刀とも言われている。その良さを失ってしまったら、世界的に評価される日本企業もただの企業になってしまう。

もっと根本的なところから、日本企業のサービスレベルの低下問題の解決方法を考えるべきだと私は主張する。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
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