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高雄の夜
〜莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2016年10月11日

台湾の出張の際、深夜を利用して高雄の町探検。時間が時間なので、目標を愛河に絞った……。
 


 
莫邦富氏
 
 
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初印象は親切で清潔

駆け足で台湾の出張に行ってきた。2泊3日の小旅行だったが、言わせてもらえば、私が見た高雄は宿泊先となったホテル、訪問先の会社、夕食を取ったもう一つのホテルの3カ所に過ぎなかったようなものだ。

もちろん、仕事を優先させなければならない。しかし、いくらなんでも、これでは高雄に行ってきたとは言えない口惜しさが残る。

そこで、最後の日(とは言っても2日目)の夕食の招待を受けたあと、ホテルを出て、散策がてらに、深夜の高雄の探検に出た。目指す目的地は高雄港に注ぐ愛河だ。ホテルから歩いていくと、片道30分間ぐらいの時間がかかる。

到着した日の深夜の夜食も入れれば、これで多少、高雄の夜を語るネタを手に入れたと自信がついた。

まず、到着した日の夜食から語ろう。宿泊先のホテルが地元観光名所の「六合夜市」に近いこともあり、自然にこの観光夜市に立ち寄ってみた。体重を考えて、担仔麺(たんつーめん)という麺を啜っただけで引き揚げたが、地下鉄駅の近くで案内板の横に、「中国大陸へ攻め返して、匪賊の中国共産党を殲滅せよ」という落書きが書かれていることに気付いた。看板の左側には、その反撃らしい落書きもある。「台湾には、こんな馬鹿げた人間が多い」というのだ。

高雄は台湾独立派の牙城というイメージが強い。しかし、夜、足に任せて高雄を回った範囲内で言えば、イデオロギーの対立を感じさせたものはこの落書きしかなかった。

町全体も清潔で、安全だ。これは私と一緒に出張の旅をした数人の同行者の一致した感想だ。

高雄の市民は優しい。道を尋ねると、みんな親切に対応してくれた。これは私たちの得た第二の印象だ。

なぜ地元の川を唄う歌はないのか

深夜を利用しての町探検なので、目標を愛河に絞ったが、高雄市内を流れるその川は、名の通り、恋人たちが愛を語らう場として断然と人気を集めている。河畔にはカフェや遊覧船など観光スポットが多い。夜の愛河は川面にネオンの光が反射されて、綺麗な夜景を見ようと思う観光客が吸い込まれている。

私たちもその誘惑に勝てずに観覧船の深夜最終便に乗った。乗り場は、国賓大飯店(アンバサダーホテル)の近いところにある。観覧船を操る青年が歌を唄ったりして案内してくれた。「愛河に関する歌はないのか」と好奇心に駆られて質問してみたら、ないそうだ。

考えてみると、上海を流れる黄浦江を遊覧する船には何度も乗ったことがある。その遊覧船の上で、みんなと一緒に歌ったこともある。しかし、黄浦江をテーマにした歌ではない。

一方、いまは第二の故郷になっている東京にも、市内を流れる川がある。隅田川だ。春のうららの隅田川を謳う「花」や「すみだ川」といった歌が知られている。

台湾も上海も観光に力を入れている。地元の観光資源をアピールするために、こうした歌があってもいいのでは、と思う。その意味では、旅先の高雄にも、故郷の上海にも同じ課題を抱え込んでいる。

ネオンの光を水面に浮かべる深夜の愛河を眺めながら、高雄の観光の課題をふっと考え込んでしまった自分の姿に、はっとなって、我ながら、その仕事中毒ぶりに苦笑してしまった。

私の短くて印象深い高雄の夜だった。

著者略歴

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大 学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化 にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新 語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』が ベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日 本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会 報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイ ヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速 報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMB Cコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国イン バウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
http://www.mo-office.jp/

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