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中国農業を新次元に高めていこうとする中国の若き農業者たち
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2016年07月14日

7月8日、中国の若き農業者たちが、日本の農業を視察するために来日した。ただ単なる視察ではなく、中国の農業をひとつの新次元に高めていきたいという野望をいだきつつ……。
 


 
莫邦富氏
 
 
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最上級品の製造、生産ないし販売へ熱きまなざし

ダイヤモンド・オンラインに連載を続けている私のコラムは7月8日、来日視察の中の若き農業者たちを取り上げた。

彼らの特徴は、大都市でそれなりに成功した高学歴者が多い。女性が占める割合も高い。中には、大都市で手に入れた安定した生活を敢えて手放して、自分の出身地の村に戻って、村おこしに情熱的に力を入れる若者もいる。

もうひとつの特徴はある商品分野に特化してブランドを作る意識が非常に強い。彼らの表現を借りれば、「単品冠軍」つまりある商品の最上級品の製造、生産ないし販売、サービスを求める。たとえば、生姜とその加工食品、または鶏卵、スイカ、ライチなどにおいては、その最上級品を消費者に提供したいという意向が強い。その集合体としては、「単品冠軍クラブ」というグループだ。そのグループの参加企業を増やすことで、中国の農業をひとつの新次元に高めていきたいというのが彼らの若き野望だ。

さらにその特徴をひとつ取り上げたいなら、私はすでにその分野でそれなりに成功していることだ。それは若き彼らの野望を支える自信と資金力、人脈とつながっている。

日本の農産品にとっての新しい挑戦者

その野望を実現するためには、彼らは猛烈に勉強し、他所の長所を貪欲に学び取る。日本視察旅行中、バスの移動時間などを利用して、車内勉強会を毎日時間さえあればやっている。宿泊先のホテルでは、夕食後、また集まって勉強会を開く。

貪欲に学ぶ一方、ものを見る目も厳しい。訪日視察団のメンバーには、果物の生産、販売などにかかわる経営者が数人もいるので、自然に日本の果物に大きな関心をもっている。

高知県の四万十市でとある物産センターでスイカを2つ買って試食した。運の悪いことに、そのスイカの試食は完全に失敗した。ひとつが腐りかけていたからだ。もうひとつの味もそこまで評価できない。

車内に戻っての評価は、「これでは、日本の果物に対する畏怖感がかなり薄められた。これまで視察した台湾の果物のレベルにもまだ達していない」というものだった。スイカを作っているメンバーは、「上海に戻ったとき、ぜひうちのスイカを賞味してください」と誘ってくれた。表情は自信満々だ。

慌てた私は、果物の王国と言われる山梨県などもチェックしてから結論を出してはどうかとたしなめた。

ただ、見る角度を変えれば、日本が自慢する農産品に挑戦する中国人経営者も現れたと見ていいだろう。

ぜひ時間を作って中国農業の新タイプの担い手の彼らが作った農産品を味見してみたいものだ。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
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