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中国はようやくクレジットカード清算市場を開放する
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2016年06月13日

数年前から、中国の銀聯カードはすでに世界最大のカード発行会社となっているのだ。いまや取引総額も最大を誇るようになった。一方、JCBはなぜ、ここまで存在感をなくしてしまったのか?
 


 
莫邦富氏
 
 
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銀聯を守るための規制が多かった

前回のコラムでJCBカードのことを取り上げた。中国出張期間中に、PM2.5にやられたため、2003年にできた上海最初の合弁による病院である東方国際病院に駆け込んだ。上海東方病院とアメリカの健康管理専門の会社が共同出資でできた病院なので、医療費はとても高い。そこでJCBクレジットカードで支払おうとしたら、断られてしまった。その事実を理解するまで私はしばらく茫然としていた。

JCBはなぜ、ここまで存在感をなくしてしまったのか? 私は驚きながら、その厳しい現実を受け止めざるを得なかった。心の中では、日本に戻ったら、JCBさんにこの辺の事情説明をしてもらおうか、と思っていた。

もちろん、JCBの努力不足と存在感の薄さという問題もあるが、一概にJCBだけに責任を求めるわけにはいかない中国側の事情もある。

それは外国のクレジットカードの中国進出に、意図的にハードルを作っているということを指す。その目的はいうまでもなく中国の電子決済機構銀聯(ぎんれん)が有利に発展できるビジネス環境を守るところにある。クレジットカードを使用する際には、国際ブランドのVISA、MASTERSでも、銀聯に接続した端末を利用して決済を行う必要がある。

7兆ドルの清算市場を開放

こうした保護のもとで、いまや銀聯カードはすでに中国を除く150の国家と地域で使用でき、全世界に2,600万の会社、180万台のATMがその支払いを受け入れる巨大な存在となった。全世界で発行された銀聯カードはすでに50億枚を超え、そのうち、40の国家と地域も銀聯カードを発行している。

規模的には、数年前から、中国の銀聯カードはすでに世界最大のカード発行会社となっているのだ。いまや取引総額も最大を誇るようになった。

情報調査会社であるニールセンが2015年4月に発表したレポートによれば、2014年、100ドルごとの取引においては、VISA、MASTERSがそのうちの55ドルを占める。そしてVISA一社では100ドルごとの取引において37ドルを占め、2013年の40ドルの実績より下がった。一方、銀聯は38ドルを占め、2013年の33ドルより上昇した、という。

さらに、2012年、世界貿易機関(WTO)から、電子決済市場の自由化に向けた強い要望が出されたこともあり、中国国務院は2015年10月末、国内のクレジット決済サービスについて、外資企業に市場を開放すると発表した。それを受けて、2016年6月7日、中国の中央銀行である中国人民銀行と中国銀行業監督管理委員会がクレジット・デビットカードの清算業務を外資に開放するための細則を公表した。これで7兆ドル規模に及ぶクレジット・デビットカードの清算業務を外資に開放し、基準を満たす外国企業は中国国内で決裁会社を設けることで、市場に参入できるようになった、という。

一歩も二歩も遅れているJCBにとってはこれまで銀聯の独壇場だった中国の巨大な電子決済市場に、これからどこまで食い込めるかが大きな課題になっている。その努力を見てみたい。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
http://www.mo-office.jp/

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