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1000万円以上の大金で譲渡を求められた商標
莫邦富的視点〜21世紀の大国・中国を見つめる〜

更新日:2016年01月06日

中国であるテレビの歴史ドラマが大きな話題を集めている。この種のテレビドラマにあまり関心をもたない筆者がなぜこの作品に興味を示したのか……。
 


 
莫邦富氏
 
 
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話題を集めたテレビドラマ

最近、中国では「羋月傳」というテレビの歴史ドラマが大きな話題を集めている。

2011年から12年にかけて放送され中国の歴史ドラマ「宮廷の諍い女(原題:後宮・甄嬛伝)」は大ヒットとなった。これまでは何度も再放送され、その衰えぬ人気の右に出る者は未だにないといわれるほどだった。

この頃、同ドラマでヒロインを演じた女優・孫儷(ソン・リー)と鄭暁龍(ジョン・シアオロン)監督が再びタッグを組んで、新ドラマ「羋月傳(The Legend of Miyue)」を製作した。自然とまた大きな注目が集まってきた。

中国メディアの報道を総合すると、同ドラマは、孫儷演じる始皇帝(紀元前259年〜紀元前210年)の高祖母に当たる女性政治家「羋月」が、楚(?〜紀元前223年)の皇帝の庶出の娘から、六国を統一した秦(紀元前778年 - 紀元前206年)の皇后へと成長していった過程を描いている。後宮内の権力争いが見どころと言われる。

この種のテレビドラマにあまり関心をもたない私がなぜこの作品に興味を示したのか、というと、実は原因は別のところにある。

ネーミングに潜む意外なビジネスチャンス

2013年、河南省鄭州市に住む王という30代の青年が偶然、「羋月傳」の原作である蒋勝男著の小説『羋月』を読んだ。小説の内容に心が惹かれただけではなく、「羋」というめったに目にしない漢字の構造にも気を取られた。

当時、ケーキ屋の経営を考えていた王青年は、「羋(mi)」という文字の発音がお米を意味する米(mi)の発音が同じだし、「羋月」という2文字も美味しそうな月餅やケーキを連想しやすい。そこで、この書名をこれから開こうとするケーキ屋の店名にしたらいいのでは、とひらめいた。

こうして14年6月、王青年は「羋月」の商標登録を申請した。

今年に入って、テレビドラマとしての「羋月傳」が大きな話題を集めた。そこで意外なことが起きた。しばらく前から、王青年のところに、上海、北京、広州などの大都市の企業関係者から相次いで電話がかかってきた。内容は同じだ。「羋月」の商標を譲渡してくれないのか、といったものだ。上海のある食品業界の企業経営者が譲渡金の金額を60万元(約1120万円)まで用意できる、と条件を提示した。

深く考えずに登録した商標がここまで値打ちを持っていることに驚いた王青年はどう決断すべきか、わからなくなった。そこで地元の新聞に投書して、自分の悩みを公開して、アドバイスを求めた。こうして「羋月」の商標が王青年に取得されたことが広く知られた。

この事例からも、商標にも立派なビジネスチャンスが潜んでいることを教えてくれている。要はビジネス意識をもつかどうかだ。

著者プロフィール

莫 邦富(Mo Bang-Fu)
1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から文化にいたるまで幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。 『蛇頭』『中国全省を読む地図』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなり、話題作には『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』『これは私が愛した日本なのか』『新華僑』などがある。 現 在、三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング会報誌の中国ビジネスクラブにて「データから見えてくる、これからの中国マーケット」、ダイヤモン ド・オンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」などのコラムを好評連載中。 博報堂スーパバイザ。SMBCコンサルティング顧問。三菱UFJ信託銀行業務顧問。山梨県観光懇話会委員。石川県中国インバウンド研究会顧問。大妻女子大学特任教授。
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