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五輪狂乱、地方はトバッチリばかりなり
ベンチャー・リンク2008年10月号掲載

更新日:2008年11月18日

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中国在住の著者が、自身で見聞きした中国の現状を語ります。にわかには信じがたい話もありますが、本当に中国では今こうなんです。
 


 
7月21日に雲南省昆明市で起きた「バス爆破事件」の現場を調査する警察官。
7月21日に雲南省昆明市で起きた「バス爆破事件」の現場を調査する警察官。
 
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北京オリンピック開催を3週間後に控えた、7月21日。私の住む雲南省昆明市において「バス爆破事件」が起こった。市民の足である路線バスが、朝7〜8時(北京時間)の間に連続して2回爆破され、死傷者16人を出す惨事となった。2回の爆発のうち1回目は、私の住むマンションの目と鼻の先のバス停で起こったもの。そこを日常的に通る私は、巻き込まれていても不思議はなく、身近な恐怖に震えた。

そして、まだ市民の恐怖の記憶も冷めやらぬ7月28日夜、今度は21日の爆発(2度目)の現場に近いバス停で、再びバスが爆発、と友人知人から電話やメールがいっせいにまわってきた。こちらは「エンジントラブルによる故障(タイヤ爆発という説もあり)」に過ぎない(から安心しろ)と公安発表があったが、21日の犯人もまだ捕まっておらず、市民の不安が拭えたとは到底言いがたい。

また8月4日には、新疆(しんきょう)ウイグル自治区の都市カシュガルでテロ事件が起こった。武装警察部隊が襲撃され、警官16人が死亡した。こちらは2人のウイグル族の若者が拘束され捜査が続いているようだが、続いて現地を取材していた日本人記者2人が、武装警察に暴行を受け重症を負う事件まで起こった。

オリンピック史上、ここまであちこちで不穏なテロ事件が起こり、それが表ざたになるというのも珍しかろう。この「表ざたになる」というのがキモで、今までの中国の体制ならばこれらは隠されていたに違いない。それだけ中国の体制が「自由で開けてきた」からなのか、はたまた「もはや隠し切れないほど多発している」からなのかは、微妙なところだが。

この事件で、昆明市内はガラリと雰囲気が変わった。バス停、街角、繁華街には数百mおきに警察官が立ち、ふだんは閉じられているか、誰もいない派出所にも、常に警官がいる(空っぽ派出所が多かった、今までのほうが異常なのだが)。少数民族が経営するレストラン、彼らの住まいが家宅捜索され、暴行を受けたり連行されたりする者も少なくない。また、外国人に対しても監視や管理がきつくなり、危ないからという理由で貧乏アパートを追い出されたり、ホテルの部屋に立ち入られたり、ただ繁華街を歩いているだけでパスポート提示を求められたりと、ひどく息苦しい空気が立ち込めている。

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プロフィール

五十嵐らん(いがらし・らん)
東京都出身。専門は細胞研究で、東京大学大学院修了(農学博士)。03年に中国雲南省の日米中合弁花卉企業に赴任、いきなり経営者に。05年暮れに独立、現在は農業経営コンサルティング、食品・化粧品開発などで日中を飛びまわる。著書に『世にも不思議な中国人』(ワニブックス刊)など。