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中国から上手に逃げ切った人に告ぐ
ベンチャー・リンク2009年6月号掲載

更新日:2009年07月14日

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中国在住の著者が、自身で見聞きした中国の現状を語ります。にわかには信じがたい話もありますが、本当に中国では今こうなんです。
 


 
町中の目立つ場所にある超高層マンション。不景気を象徴するように、去年から工事が頓挫している。
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最近の中国では、日本人駐在員の急きょ帰国や撤退企業の話を盛んに聞く。また、テレビやインターネットから伝わってくる日本のニュースも「不景気」がらみばかり。確かにサブプライムローン破綻は甚大な被害を各国にもたらしているし、輸出企業の厳しさも分かるのだが、相変わらずの“一億総落ち込み日本”を強調する姿勢はいかがなものか。もう少し前向きな報道や明るい生活を心がけてもらえないか、とついつい思ってしまう。

かく言う私自身も、このところかなり怒っている。今月号がこの連載の最終回ということで、日頃感じていること、皆が少なからず思っているが立場的に言えないことを「ズバッと」書く。漠然とした話ではあるが、具体例を書くわけにもいかないので察知していただければ幸いである。

中国にいる日本人駐在員たちは本当に苦労が多く、誰もが「日本」と「本社」を背負って頑張っていることは常々書いてきた(もちろん日本にいる人たちも頑張っていることは当然である)。駐在員には定年後や定年間近の「(人生の)上がり組」もいるが、やはり主流は30〜40代。彼らは慣れない異国で家族の生活のみならず仕事のストレスまで背負い、単身の人ならば海外にいる孤独と常に戦いながら、ともに頑張っている。さらには、会社の上の世代が散々失策していながら逃げ切って帰国しているというのに、その負の遺産をそっくりかぶらされて苦悩にあえぐ始末だ。おまけに、老後の年金はさして期待できないうえに給与も諸手当ても減らされる一方である。この不景気のなか、彼らが中国で必死に踏ん張っているところに、上の世代がなぜ能天気に、神経を逆なでするかのように“視察という名の遊び”に来られるのだろう?

もちろん、海外に会社の“お偉いさん”が来るという習慣は、今に始まったことではない。しかし、会社が苦しい苦しいとどこもかまびすしく、駐在手当てが減らされたり家族だけ帰国させられたりという最中に、なぜ、“今の結果に最も責任を取るべき世代”がのうのうと視察に来られるのか。私は声を大にして言いたい。「あなたたちが視察して、会社の何が変わるというのか。散々失敗してきた結果が『これ』なのに、まだ気が付かずに『決定権』を手放さないのですか?」

年に1度や2度、“遊びに”来て、中国の、中国支社の、駐在員の何が分かるというのか。やっかいなことに、中国に妙な思い入れがある年配の人たちは、現場で戦っている駐在員に「中国を理解しなきゃ」などと余計な説教まで食らわせる。「周恩来もトウ小平も若い世代には関係ないんですよ、あなたたちが見てきた中国は“想像(妄想)上のもの”ですよ」と何度言えば分かるのか。

会社の負の遺産だけでは物足りず、歴史の負の遺産も、関係ない若い世代に背負い続けろとでも言いたいのか。何の責任も取らずに逃げ切って、中国に来てまで次世代の人に説教を食らわす日本の年配者たちを、どれだけ冷ややかな目で中国在住日本人が、いや中国人でさえも見ているか、彼らは知るべきだろう。

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プロフィール

五十嵐らん(いがらし・らん)
東京都出身。専門は細胞研究で、東京大学大学院修了(農学博士)。03年に中国雲南省の日米中合弁花卉企業に赴任、いきなり経営者に。05年暮れに独立、現在は農業経営コンサルティング、食品・化粧品開発などで日中を飛びまわる。著書に『世にも不思議な中国人』(ワニブックス刊)など。