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不況が押し寄せ不満が渦巻く
ベンチャー・リンク2009年3月号掲載

更新日:2009年04月14日

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中国在住の著者が、自身で見聞きした中国の現状を語ります。にわかには信じがたい話もありますが、本当に中国では今こうなんです。
 


 
1月6日朝8時過ぎの、市内中心に向かう通勤バス車内。いつもの混雑が信じられないくらい閑散としている。
1月6日朝8時過ぎの、市内中心に向かう通勤バス車内。いつもの混雑が信じられないくらい閑散としている。
 
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年が明けた1月の初め。春節(旧正月)を26日に控えた中国では、明らかに昨年までとは異なる光景が見られる。春節は中国人にとって1年で最大かつ最重要イベント。よって、早ければ2週間ほど前から、出稼ぎ農民や地方出身者の帰省が始まるのが常だ。しかし、ここ数年は好景気を反映してか、ほとんど休暇がない会社も珍しくなかった。

ところが、である。今年は仕事始めの1月5日の時点で、すでに出稼ぎ農民や地方出身者はもちろん、外国人まで姿を消しつつあった。

5日の月曜日の朝。いつもの渋滞や、バスの中で乗客がすし詰めの光景が見られなかった話題で、私の周囲の“都市部では極めて一般的な”中国人たちは盛り上がっていた。もちろん、それがただの印象だけではなく不景気ゆえだ、と裏付ける証拠(?)は数多くある。

某工場では注文が少ないから元旦から春節までずっと休暇にしている。ある外国人向けバーは元旦休暇から閉店したままで、どうやら経営者が逃げたらしい。一応、例年よりも早い春節のおかげで休暇が長いから(早めに休んでいる人が多い)とか、冬場はコンクリートが固まらないから(工事が停止し労働者が早く故郷に帰る)という面もあるにはある。しかし、そのような背景をもってしても説明がつかないほど閑散としている。

去年、いや一昨年くらいまでの中国は町が活気にあふれ、出稼ぎ農民たちが春節ギリギリまで働いて稼ぎ、仕事不足どころか人手不足で、建築現場も深夜まで工事が終わらず、町も店も人でごった返し、交通機関はどこも満杯状態だったのだ。そしてふだんは楽観的で自分の生活レベル内の人間関係以外に興味がなく、なんとなく「中国経済は(共産党が)成長を維持する」と信じていた多くの普通の中国人たちも、この不景気にとうとう気がつき、認めざるを得なくなった、ということだろう。去年のうちによく見ていれば、町の変化にとっくに気がついていたはずなのだが。

不景気の空気がすでに蔓延していた08年年末、1つの「宣言」が出されたのをご存じだろうか? 12月9日、作家や大学教授、弁護士など303人の署名入りでインターネット上に発表された「〇八憲章」がそれだ。

共産党の一党独裁を否定し、党の腐敗を批判し、人権の保護と民主主義国家(システム)の設立を訴えた驚くべき内容だ。これほど明確に共産党を批判する文章を「実名で」、「しかも一般人が」出したことに、少なからず衝撃を受けた。大方の予想通り、発起人の1人(活動家・劉暁波/りゅうぎょうは/氏)が早々に逮捕・拘留されていることを考えれば、その実名による署名の勇気と衝撃度は、日本人にも伝わるだろう。

同時に、この憲章を発表からわずか1カ月後の中国社会とからめて考えてしまう。

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プロフィール

五十嵐らん(いがらし・らん)
東京都出身。専門は細胞研究で、東京大学大学院修了(農学博士)。03年に中国雲南省の日米中合弁花卉企業に赴任、いきなり経営者に。05年暮れに独立、現在は農業経営コンサルティング、食品・化粧品開発などで日中を飛びまわる。著書に『世にも不思議な中国人』(ワニブックス刊)など。