日本のような優良中古品はあり得ない
ベンチャー・リンク2009年1月号掲載
更新日:2009年02月17日
中国在住の著者が、自身で見聞きした中国の現状を語ります。にわかには信じがたい話もありますが、本当に中国では今こうなんです。
先だって日本に帰国した際、集めたい物があってリサイクルショップを何軒もまわった。立地や品ぞろえをインターネットである程度調べてから店舗をまわったのだが、その「取扱商品」の種類と数の多さたるや!
家具、電化製品、バイクや自転車、文具などからアンティークおもちゃや楽器などまで多種多様、もう見てまわるだけで楽しくて仕方ない。もちろん状態もよく、新品同然や新古品も多いから「中古品」という感覚さえ希薄になる。
この「中古品を甦らせる技術」の高さは、日本の特筆すべき部分だろう。もちろん恵まれた条件が元々ある。(1)高品質の品物が手頃な値段で手に入りやすい。(2)ていねいに使う人が多い。(3)修理・修繕技術が高く、新品に近い状態にまで戻せる。これらの土壌があるからこそ、日本は中古品のレベルが高い。
私事で恐縮だが、日本滞在中に実家で、浴室の窓枠上のタイルがはがれた。修理に呼んだ業者は、浴室の「清潔ぶり」と「長持ちぶり」に驚いた。何と築21年にして“初めて”タイルがはがれたのだ。そばで工事の様子を見ていた私は、湿気の多い日本の、しかも浴室に、21年間もはがれないタイルを貼る業者と、またそのタイルを周囲の壁となじませて目立たなくさせる業者の「修理技術」に、心底から感嘆した。21年間も浴室をきれいに使い続けた母にも。
なるほど、専門家の技術の高さもさることながら、私の母のような普通の主婦でも持っているメンテナンス(整備)意識の高さが、日本の技術への「いい相乗効果」を生んでいるのだな、と思ったものだ。
話はリサイクルショップに戻る。私が特に驚いたのが古着である。「シミ」「よれ」「黄ばみ」が目立ちやすい白いブラウスやシャツまでも、大量に陳列されている。有名ブランド品のみならず「メード・イン・チャイナ」の大量生産品までも、使用感のある古着を見事にクリーニングして、売り物になるレベルに引き上げてある。これを「当たり前」だと思ってはいけない。少なくとも中国ではまだ「難しい」ことなのだから。
なかでも、沿岸大都市部を除く大部分の地域では、日本のリサイクルショップは夢のような店である。そもそも、リサイクルしてもなお価値がある(残る)品が少ない。例えば、新品で買っても3年持たないとされる中国ブランド家電。テレビやDVDプレーヤー、洗濯機などの中古家電を売る「町の修理屋」はゴロゴロあるが、多くは「故障品」をそのまんまで売っている。まだ使える家電を買い替えの際に売る中国人は、まだそう多くない。つまり、「家電の中古品=壊れて捨てられたもの」であり、しかも新品でもすぐ壊れるのだから、直す価値もないものである。これら中古家電は内部の有益な部品だけ取り出され、多くが廃棄処分される運命で、環境汚染の原因のひとつとなる。
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プロフィール
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五十嵐らん(いがらし・らん) 東京都出身。専門は細胞研究で、東京大学大学院修了(農学博士)。03年に中国雲南省の日米中合弁花卉企業に赴任、いきなり経営者に。05年暮れに独立、現在は農業経営コンサルティング、食品・化粧品開発などで日中を飛びまわる。著書に『世にも不思議な中国人』(ワニブックス刊)など。
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