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企業に移ってどこまで戦力に!? 公務員の民間適応力を識別しよう

更新日:2007年05月17日

国家公務員の再就職斡旋は「官民人材交流センター」に一元化され、これまで行なわれてきた省庁ごとの斡旋は禁止される措置が検討されている。同センターが機能すれば、天下りを受け入れても、公共事業などの発注がなされるかどうかわからなくなる。民間企業に移籍した公務員の戦力としての在り方が大きく変わってくるわけだが、戦力になる公務員とはどんな資質をもった人材だろうか。
 


 
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T種(上級職)の公務員は素質としては優秀

4月25日、政府は国家公務員の天下り規制を盛り込んだ公務員制度改革関連法案を国会に提出した。法案は、省庁ごとの天下り斡旋を平成23年までに禁止することを求めている。天下り規制の対象は民間企業だけでなく、天下りの大半を占める非営利法人が含められた。規制が実施に移されると国家公務員の再就職斡旋は「官民人材交流センター」に一元化され、これまで行なわれてきた省庁ごとの斡旋は禁止される。

天下りと談合は表裏一体の関係にある。天下りした公務員を食わせるために、官製談合による発注がなされるからだ。民間側が天下りを受け入れる理由もそこにあった。公共事業などの発注を受けられるのだったら、天下り人材の人件費を支払っても十分利益を確保できる。たからこそ、天下りを受け入れたのだ。天下り人材は営業のためのコストだから、仕事をしようがしまいが、民間企業にとってどうでもよいことだった。現実に、天下り先でまったく働かない元公務員はたくさんいた。

しかし、官民人材交流センターが本当に機能するようになると、話は違ってくる。天下りを受け入れても、発注がなされるかどうかわからないのだから、民間側としてはコストに見合わない人材を採ることはできない。そうしたときに、民間企業で元公務員は通用するのだろうか。

もともと国家公務員、とくにT種(上級職)の公務員は、難関の試験を突破しているのだから、素質としては優秀な人がほとんどだ。問題は、入省してからの経験が彼らを変えてしまう可能性があることだ。

名を取ろうとするか、実を取ろうとするか

じつは私が最初に就職したのは日本専売公社だった。もともと大蔵省専売局が独立した公社だったから、社内の仕組みは基本的に役所のままだった。そして2年間経済企画庁に出向もしていたから、役所のなかで何が起こるのかというのは大体わかる。

専売公社で私は主計課という部署に配属された。大蔵省から予算を獲得してきて、工場や支社に分配する役割を担った部署だ。大蔵省にはひたすら頭を下げ続けて予算を獲得するのだが、支社に予算を配る段階になると、今度は自分が大蔵省と同じ立場になる。支社や工場から予算折衝に担当者がやってきて頭を下げる。

本当は予算に頭を下げているのだが、そうした状況に慣れていくと、やがて自分が偉いのではないかと勘違いしてしまうのだ。私は主計課の仕事を1年半で離れたので、何とか勘違いから立ち直ったが、何年もいたら勘違いが続いてしまったと思う。

役所のことを「お上」と呼ぶことがあるが、言い得て妙だと思う。役人根性が身に付いてしまうと、すべての物事を上から見下ろすようになる。世界は自分の考えの下で動いていると考えてしまうのだ。それは、予算をもっている公務員に限らない。公務員は法律を作る権限を事実上もっている。自分がルールメーカーになれるのだから、基本的に負けはない。自分の思いのままに物事を運ぶことができるのだ。

民間は逆だ。どんな理不尽なルールを作られようとも、その制約のなかで成果を生み出さなければならない。したがって、公務員が民間で活躍できるかどうかは、この民間のルールで動けるかどうかという点にかかっている。それを判定する方法は、いくつもある。物事を上から見るのか、正面から見るのか。物事がうまくいかないときに、制度のせいにするのか、自分のせいにするのか。そして何より、名を取ろうとするか、実を取ろうとするかだ。

プロフィール

三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究員
獨協大学特任教授
森永卓郎