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老後の生活資金対策は40歳代からはじめよ!

更新日:2007年04月19日

現在40歳の男性の95%が亡くなる、つまり生き残るリスクが5%となる年齢を「生命表」から計算すると、なんと95歳。つまり安全を考えると、65歳から31年間分もの老後の資金を用意しておかなければならない。年金の給付水準の低下、出生数の減少などをふまえると、40歳代から毎月11万円を老後の生活資金として貯金する必要があるという計算になる。
 


 
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年金の給付水準が2023年度までに約15%低下

「老後の必要生活資金は8000万円」。マネー雑誌に登場する気の遠くなるような数字を私は冷ややかな目でみてきた。現在の厚生年金のモデル年金は夫婦で年間280万円だ。一般世帯でも年収300万円あれば十分に暮らせる。

統計をみても、年収300万円世帯は家計が黒字だし、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などは、普及率が100%近い。ましてや、高齢期の夫婦2人暮らしだったら、もっとお金はかからない。だから公的年金だけで十分暮らせると思っていたのだ。

しかし、私の見込みは甘かった。まずは2004年の年金制度改正だ。この改正で「マクロ調整スライド」という仕組みが取り入れられた。年金の支え手の減少と平均寿命の伸長にあわせて、2023年度までに給付水準を約15%引き下げることにしたのだ。

しかも、どうやらそれでは収まらない事態が発生している。厚生労働省が今年2月6日に、厚生年金の将来給付水準の試算結果を公表した。2004年の年金制度改正のときには、出生率を1.39と想定していたのだが、昨年12月20日に国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来人口推計では、2055年の合計特殊出生率を1.26とした。じつに9.4%もの出生率の下方修正が行なわれたのだ。

年金給付の推計もこの将来人口推計の変更に合わせて再計算したのだが、厚生労働省の示した厚生年金の将来給付水準は、2004年改正で示された「現役世代の手取り収入の50・2%」から「51・6%」へとむしろ改善したのだ。

これは年金積立金の運用利回りをとてつもなく高く見込んだ一種の粉飾決算だ。想定以上の少子化が進んでいるのに、年金給付の水準が逆に高まるはずがないからだ。素直に考えれば、年金給付の水準は、最終的に出生率の低下分だけ下がると考えるのが普通だろう。

安全策として40歳代から毎月11万円の貯金が必要

マクロ調整スライドの15%減と出生数の9.3%の減を合計すると24%となるから、今後年金給付水準は最悪24%減少することを覚悟しなればならない。そうなると年金の給付年額は280万円から213万円へと大幅にダウンする。年収300万円は必要と考えると、公的年金だけでは毎年87万円不足するということになる。この分は貯蓄しておかなければならないが、問題は何年分の貯蓄が必要かということだ。

男性の平均寿命は79歳だから、年金支給開始の65歳からの年数は15年ということになるが、それだけの準備では危険すぎる。なぜなら、それはあくまでも平均であって、79歳以降も生き残るリスクが十分あるからだ。たとえば現在40歳の男性の95%が亡くなる、つまり生き残るリスクが5%となる年齢を「生命表」から計算すると、なんと95歳となる。安全を考えると31年間分も老後の資金を用意しておかなければならないのだ。

毎年87万円不足するとして、31年分で2697万円というのが定年時点で用意しなければならない老後の生活資金ということになる。問題は、これだけの資金をどのようにして準備したらよいのかということだ。

40歳から60歳まで20年間で貯金するとしても年間135万円、月に11万円だから相当きつい。しかし、金融資産の格差が大きくなるのは40代からだ。子どもの教育費や住宅ローンの支払など家計がもっとも苦しい時期に、どれだけ貯金ができるかが、老後生活の命運を決めるのだ。

プロフィール

三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究員
獨協大学特任教授
森永卓郎