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団塊の世代は大市場ではなく小規模な市場を無数に生み出す

更新日:2006年11月30日

700万人という巨大な人口にのぼる団塊の世代。この世代向けの商品やサービスが次々に開発されているが、狙い目は何だろうか。じつは団塊の世代とひとくくりにされているが、この世代は均質な存在ではない。個性の発揮を重視する世代である。一大市場ではなく、むしろ小規模な市場を無数に誕生させるのではないだろうか。
 


 
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均質の世代ではないので一大市場は形成されないと予測

団塊の世代が2007年から60歳に到達しはじめる。700万人という巨大な人口の塊が、3年間にわたって定年年齢を迎えるのだ。彼らにビジネス界が熱い視線を送る理由は、たんに彼らが定年後も大きな消費市場となるからだけではない。彼らが手にする退職金の額が80兆円ともいわれる巨額になるからだ。

すでに金融商品、旅行、田舎暮らし、住宅リフォームなどの分野では、団塊の世代を意識した商品が次々に登場している。金融機関は長期安定運用のできる高配当銘柄を組み込んだ投資信託を開発しており、ゆったりと時間をかける海外旅行、田舎暮らしをはじめるためのコンサルティング、バリアフリーへの住宅改装などのビジネスがちょっとしたブームになっている。

10月24日に龍宮社出版が創刊した「Z (ジー)」は、55歳以上の男性を対象にしたメンズファッション雑誌だが、「ちょい悪オヤジ」をめざすためのファッション記事にとどまらず、教養のページや定年後の人生設計などさまざまなテーマで、情報発信を行なっている。

こうしたブームをみると、今後団塊の世代向けに、特徴ある大きな消費市場が確立していくように思えるが、私は団塊の世代が一致結束して巨大市場を作るとは考えていない。団塊の世代は、団塊という名前がついているために均質の存在として語られがちだが、そんなことはない。テリー伊藤さん、北原照久さん、弘兼憲史さんなど、メディアで活躍する団塊の世代はみな個性豊かだ。

それだけではない。ノンポリの革命ごっこと揶揄された全共闘も、彼らがバラバラだったからこそ、本格的な学生運動に発展しなかったのだ。団塊の世代は、むしろ自分の個性の発揮を重視する世代なのだ。

少量生産でマニアックな商品が主流になるか

そして、今後団塊の世代が定年年齢を迎えると、さらに彼らの個性を発揮しやすくする条件が整う。それは定年そのものだ。現役時代、彼らは自由を制約されてきた。子育て、住宅ローン、上司と部下との板ばさみなど、自分の好きなことをする余裕はなかった。しかし、定年とともに、そうした葛藤から解放される。

しかも団塊の世代は、サラリーマンの核家族を作った最初の世代だ。彼らには帰るべき家もなく、継ぐべき家業もない。どこに住もうと何をしようと自由なのだ。さらに、もうすぐ団塊の世代には年金という生活の最低保障が与えられる。利益を気にせず、思い切り好きな仕事をできるチャンスが団塊の世代にめぐってくるのだ。

私は、団塊の世代が自らの個性を発揮できる多様化した消費市場の供給者であり、需要者になるだろうと考えている。不特定多数に財やサービスを売るのではなく、自分の仲間たちと作品を共有するといった性格の少量生産でマニアックな商品が主流になっていくだろう。陶芸、リトグラフ、ガレージキット、同人誌、ミニコミ誌、寺小屋、ダイビングショップ、釣り船、炭焼き、ダンス教室など、具体的な分野はいくつでも挙げられる。

それらの市場に共通した特徴は、大企業が参入できるほどの大きさをもたないことだ。団塊の世代の巨大マーケットは、ひとつひとつは小さな規模の市場が、無数に発生することで発展していくのではないだろうか。

プロフィール

三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究員
獨協大学特任教授
森永卓郎