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原油価格高騰から生活を守る術

更新日:2006年09月07日

中東情勢の悪化にくわえ、中国やインドの経済成長による原油需要の拡大によって、投機家が安心して原油を買い進められる環境が続いている。この情勢が生活に与える影響は石油価格とガソリン価格の高騰だ。すでに生活コストを脅かしつつあるが、防衛策は何だろうか。
 


 
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投機家が安心して原油を買い進められる2つの理由

ガソリン価格が高騰を続けている。石油情報センターが8月23日に発表したレギュラーガソリンの小売価格は、8週連続で上昇して1リットル当たり143.9円となった。これで最高値を3週連続で更新したことになる。ガソリン高騰の原因は、もちろん原油価格が急激に上がっていることだ。

原油価格というのは、特殊な決まり方をする。ニューヨークのマーカンタイル取引所で決まった価格が、世界の石油価格を支配するのだ。そして、このマーカンタイル取引所に流入する資金は、実需の資金だけではない。むしろ投機資金のほうが圧倒的に多いといわれる。原油の生産コストは1バレル数十セントに過ぎないといわれており、コストが突然上がったわけではないのだから、投機資金が原油価格を引き上げているのは間違いないだろう。

しかし、湾岸戦争のときには、多国籍軍の攻撃開始と同時に暴落した原油価格が、今回高騰を続けているのは、投機家が安心して原油を買い進めることができる環境が続いているという事情がある。

ひとつは、一向に安定の気配をみせない中東情勢だ。この5年近く、アフガニスタン、イラク、そしてレバノンと、中東での戦火が絶えることはなかった。また、核開発疑惑をもたれているイランが、国連常任理事国とドイツから示された包括提案に対して、ウラン濃縮の停止を拒否し、大規模な軍事演習も行なうなど、戦火がさらに広がる気配さえ広がっている。こうした不安定な中東情勢のもとでは、原油を増産することで価格下落のきっかけをつくる国がでてこない。

もうひとつは、世界の原油需要が拡大を続けていることだ。中国やインドの急速な経済成長は、日本の高度経済成長とは比べものにならないインパクトを原油市場に与える。中国もインドも日本とは桁違いに人口が多いからだ。

投機資金は現物の需給を無視できないが、現物の需給の逼迫が確実だからこそ、彼らは安心して投機に励んでいるのだ。中東の専門家に聞くと、戦争の展開によっては1バレル100ドルという価格になっても不思議ではないそうだ。そうなると、心配されるのが我々の生活への影響だ。すでにじわじわと原油高の影響が出はじめているからだ。

石油代とガソリン代の節約方法を教えよう!

たとえば漁船の燃料費がかさんで魚価が上がり、石油を原料とするプラスチック製品も値上がりしている。国際線の航空運賃や海運運賃も上がった。銭湯も重油を使っているので値上がりがはじまっている。しかし、我々の生活に一番影響を与えるのは、何といっても暖房用の灯油とガソリンだろう。この部分で、もちろん我々は石油価格を下げることはできないが、防衛策を採ることは不可能ではない。

暖房に関しては石油ストーブや石油ファンヒーターの使用を止めて、エアコンに切り替えるだけで大きな節約が可能だ。石油価格は上がっても、電力料金はあまり上がっていないからだ。すでに昨冬で、石油で暖房をするより、エアコンで暖房したほうが、コストは半額以下で済むようになっている。

また、エアコンを新しい機種に切り替えるということでも、コスト削減は可能だ。エアコンの技術進歩は早い。たとえば10年前の日立の白くまくん(14畳用)の年間電気代は5万5968円だったのが、最新機種だと3万404円になっている。おおざっぱにいうと、エアコンの電気代は、10年前のモデルと比べると、同じ出力でほぼ半分になっているのだ。

暖房と同時に、ガソリン代の節約も十分可能だ。まず燃費のよい車に乗り換えればよい。国土交通省が発表している「平成17年度燃費のよいガソリン乗用車ベスト10」によると、もっとも燃費のよいホンダ・インサイト(ハイブリッド車)の燃費は36q/リットルだ。これは普通の車の2倍以上だ。また、ハイブリッドを買う余裕がない人は、たとえば軽自動車に乗れば、燃費を改善できる。ダイハツ・ミラの燃費は30.5km/リットルとなっている。さらに、急発進、急ブレーキを避ける運転をするだけで、燃費は10%から20%改善するのだそうだ。

このほか、太陽光や風力の利用というのも、近い将来には燃料コスト節約の選択肢に入ってくるだろう。いずれにせよ、エネルギー価格が上昇するときには、我々のライフスタイルそのものから変えていかなければならないのだ。

プロフィール

三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究員
獨協大学特任教授
森永卓郎