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「持ち家VS賃貸」どちらが得か?

更新日:2004年08月12日

持ち家がトクか、賃貸がトクか。この議論にはいっこうに結論が出ない。地価と金利が変動する限り、どちらがトクかは変わってくるし、家庭の状況にもよるだろう。大切なことは正しい比較の方法である。森永氏に教えていただこう!
 


 
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持ち家VS賃貸の正しい比較の方法

持ち家と賃貸とどちらが得かというのは、ある意味で終わりのない論争だ。週刊誌や住宅雑誌で、この話題が絶えたことは一度もない。しかし、私はいつもこの論争に違和感を覚えてきた。なぜなら、この論争が家を借りた場合と買った場合で、どちらが安くつくかという単純な比較で行なわれているからだ。

そうした比較はおかしい。支払額が同じなら、たとえ古くなっても、後に家が自分のものとして残る持ち家のほうがよいに決まっている。それでは、どうすれば正しい比較ができるのか。私は、次のように計算するのが正しいと思う。

たとえば3000万円のマンションがあったとする。そのうち土地代が1000万円だとすると、残りの2000万円がこのマンションの使用価値だ。マンションの耐用年数を35年とみると、月間の減価償却費は4万7619円。これに管理費と修繕費、そして固定資産税を加えても7万円前後だろう。

この7万円と家賃を比べたときにどちらが安いかというのが、持ち家が有利か賃貸が有利かの基本的な比較になる。3000万円するマンションの家賃が7万円ということはあり得ないから、私の計算では絶対に持ち家が有利になるのだが、もしそうなら、もっと家賃が下がってバランスするはずだ。なぜそうならないのか。

じつは、持ち家を買うということは、土地への投資がセットになっている。たとえば、3000万円のマンションの例でいえば、好むと好まざるにかかわらず、1000万円分の土地がついてきてしまうのだ。

その土地の値段が下がっている。たとえば、6大都市圏住宅地の市街地価格指数は、1990年度が21,002で、2003年度は7,497となっている。13年間で64.3%も下がった勘定になる。この値下がり分は、持ち家の人にはすべて降りかかってくるが、賃貸の人にはかからない。だから、この10数年間、持ち家派はつねに負け組だったのだ。

しかも多くの人が、まだこの地価下落は続くと考えている。だから、家賃が地価下落による損失を織り込んで、割高になっているのだ。

地価は底を打つので持ち家がトクか

それでは、いまの時点で持ち家がよいのか、賃貸がよいのか。持ち家には地震や火災で資産価値を失うリスクがあるとか、簡単に住み替えができなくなるというデメリットもある。だが、自由にいじれたり、高齢期の住処を安心して確保できるというメリットもある。

しかし、経済的にみたとき、一番大きなポイントは、今後も地価が下がり続けると考えるか否かだ。私は、それほど遠くない将来に地価は底を打つと考えているので、持ち家のほうがよいと思う。

ただし、住宅ローンを組んで家を買う場合には、十分な注意が必要だ。今後、景気が回復すると金利は上昇する。そのときに、短期固定や変動金利の住宅ローンを抱えていると、ローンを返済できずに破綻してしまう可能性がある。

たとえば、変動金利の住宅ローンの金利は、一般に短期プライムレートに1%を加えた率に設定されている。1990年の短期プライムレートは8.25%だったから、ローン金利が二桁というのも今後十分ありうる話なのだ。だから、多少割高でも、借りるなら長期固定金利を選ぶべきだろう。

プロフィール

UFJ総合研究所 経済・社会政策部
主席研究員 森永卓郎